<終焉>

一周間目・目眩と耳鳴りがした。

二週間目・頭痛と腹痛に苦しんだ。

三週間目・食べたものを吐いてしまった。口内炎もひどい。

翌日・ただ事じゃないと思い、病院に行った。

一週間後・検査の結果で聞いたこともない病名を告げられた。

そして、困惑した頭の中で三ヶ月がどれほどの時間か考えた。

いつものように、楽屋で馬鹿騒ぎをした。

いつものように、明るく振る舞った。

いつものように、いつものように、いつものように。

だけど、どうしても気付かれてしまう。

最初は高井さんが声をかけてきた。

「梶、何かあったんか?」

「別に何もないですよ」

「それならええけど、何か悩み事があるんやったら相談するんやで」

「はい、ありがとうございます」

笑顔でそう言った。

次は中川さんが声をかけてきた。

「梶、お前なんか変やで?」

「何がですか?」

「うまく言えへんけど、何か変や」

「なんですか?それ」

笑いながらそう言った。

次は菅さんが声をかけてきた。

「梶、お前何かあったやろ」

「菅さんまで何ですか?何もないです」

「・・・背負いこむのは悪い癖やで」

「本当に何もないんですってば」

ちょっと焦りながらも笑顔でそう言った。

次は西野が声をかけてきた。

「梶、俺にも話せへんのか?」

「西野っち?」

「みずくさいやろ」

「何もないで?」

「ほんまか?」

「ほんまやって」

「・・・わかったわ」

ちょっと申し訳ない気持ちになっつたけど、何とか笑えた。

最後は宇治原さんやった。

「梶、何でそない悲しそうに笑ってんねん」

「え?何言うてるんですか?俺はいつも通りです」

「・・・ほんまか?」

「ほんまです」

「・・・お前、顔色悪いで」

「・・・え?」

「休んだ方がええんちゃうか?最近、働きすぎやで」

「大丈夫です」

「でもな」

「大丈夫や言うてるやろ!」

「梶・・・」

俺の声に、宇治原さんが悲しそうな顔をする。

宇治原さんだけやなくて、WSのメンバー全員が俺を見る。

たまらなくなって、俺は逃げ出した。

走って、走って、走って・・・。

息がきれた。心臓の音が大きく聞こえる。

このまま死ぬかもしれへん、なんて冷静に考えた。

「・・・どうせ、あと三ヶ月やし」

そう呟いて、その場にうずくまる。

「・・・っ・・くっ・・・ふっ・・・」

涙が溢れてきて、声を殺して泣いた。

闇が迫ってきている。

別れが近づいてきている。

「・・・死にたない」

空虚な心にそんな叫びは意味がなかった。

end

コメント

梶くん大病に侵されました。

こういうの好きです。本当すいません。

back