<SUMMER>
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「あー、暑いー」
「・・・暑いなら離れたらええやんか」
「わかってへんなー、のん」
「僕もいい加減暑いねんけど」
「偶然、俺も同意見や」
「離れてや」
「嫌やな」
先ほどから続いている二人のやり取り。
物が散らかった後藤の部屋。
窓は全開、外からはセミの鳴き声。
窓に飾られた風鈴など、何の役にもたたない。
「大体、後藤くんがクーラー壊すから悪いんやで」
「そない暑いんやったら扇げばええねん」
「なまあたたかい風しか来おへんもん」
「じゃ、我慢するんやな」
「・・・後藤くんが離れてくれたら少しはマシやと思う」
「却下」
「・・・」
後藤に後ろからぬいぐるみのように抱きしめられ、岩尾は溜息をついた。
一体、何十分こうしているのか・・・。
「蚊とか入ってきたらどうすんの?」
「それは嫌やな」
「せやろ?どっか涼しいとこ行こ」
「・・・嫌や」
「なんで?暑いの嫌やんか」
「のんとこうしてる方がええ」
「・・・後藤くんって」
「ん?」
「大人やけど、子供みたいな時あるわ」
「お前に言われたない」
「三十路」
「うるせっ」
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end
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コメント
何でしょうか、この二人。
個人的にこの二人はラブラブでいてほしいんです。
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