<一生涯の人生>

一生、君を愛し続けるよ。
なんて、神様に誓うことができたなら。
こんなにも君を不安にさせることはないのだろう。

「西野っち、何してんねん」
「んー?」
「何読んでんの?」
「結婚式場のパンフ」
「・・・何で?西野っち、結婚すんの?」
「できたらしたい、梶と」
「・・・できるわけないやろ」
そう言って、梶は手に持っていたカップを俺に差し出す。
「わからへんやんか」
コーヒーが煎れられているカップに口をつけ、俺がそう言うと梶は苦笑した。
「日本の法律では結婚できひんやろ?俺も西野っちも男や ねんから」
「じゃあ、性転換でもするか?」
「・・・阿呆」
そう言って、梶は微笑んだ。
だけど、その微笑み方があまりに悲しそうなのを俺は見逃さない。
俺は黙って梶を抱きしめ、触れるだけのキスをする。
「何?どうしたん?」
「・・・梶、好きやで」
「俺も、西野っちのこと好きや」
「絶対に離れんでくれな」
「絶対に離れへんよ」
もしも、俺か梶が女だったら・・・。
きっと、こんなにも梶を不安にさせることはない。
もしも、神様の前で愛を誓えたなら・・・。
きっと、こんなにも梶を悲しませることもない。
それでも、俺は・・・。
「梶が好きやねん」
「・・・西野っち?」
「離れたない。梶やないと駄目やねん」
「・・・俺も」
「神様なんかに誓えなくても、俺は梶に誓うから」
「・・・?」
「一生涯の人生、梶を愛し続ける」
「俺も、西野っちを愛し続けるって誓う」
「じゃあ、今から二人きりで結婚式しようや」
「・・・うん」
「せやけど、おしいな」
「何が?」
「梶やったら白いドレスとか似合いそうやのにvv」
「・・・阿呆」
「本気やで?」
一生涯の人生、君を愛し続ける。
たとえ、神様が認めてくれなくても・・・。
俺は君から離れない。

END

コメント

限定本に予定していた小説です。

本当に申し訳ありませんでした。

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