<花嫁さん>

幼い頃から好きやったんやと思う。
多分、入園式で初めて出会った時から・・・。
ずっとずっと俺の片思い。
それは、今でも同じこと。

「福、俺と結婚せぇへんか?」
「・・・は?」
徳井の言葉に、福田はポカンと口をあけた。
その横では、偶然にも話を聞いていたランディーズの高井が飲みかけのコーヒーを吹き出している。
「徳井くん、それは新しいボケ?」
「ちゃうわ!俺は本気やで」
「・・・知ってると思うけど、俺は男やで?」
「知っとる」
珍しく真面目な顔をしている徳井を前にし、福田は溜息をついた。
「何をいきなり・・・」
「結婚してほしいねん」
「・・・」
「福と結婚したいねん」
「・・・無理やろ」
「言うと思ったわ」
そう言うと、徳井は胸元から一枚の紙を取り出す。
「何それ?」
「福、忘れたんか?この宣誓状を」
「・・・あっ」
徳井の言葉に、福田の脳裏に幼い頃の記憶が甦った。
「・・・まさか」
徳井はニッコリと微笑んでその紙を福田に見せる。
その紙には・・・。
<おおきなったら とくいくんとけっこんする>
と、子ども独特のミミズのような字で書かれてあった。
間違いなく、それは福田が幼い頃に書いたもの。
「こ、こんなん何で持って・・・」
「約束したやろ?」
「ちょ、待ってや!これは徳井くんが無理矢理書かせたん やないか!」
「せやけど、約束は約束やで」
「そ、そんな・・・」
福田は微笑を浮かべながら自分を見つめてくる徳井に対し泣きそうになってしまった。
しかし、徳井の無言の笑顔が有無を言わさないというオーラを発している。
「今日、俺の家に来るやろ?」
「な、なんで・・・?」
「福は俺の花嫁なんやから当然やろ」
「・・・徳井くん、根本的な問題が残ってるで」
「大丈夫や。籍なんかいれんでも、結婚はできる!」
「できひんよ・・・(泣)」

ずっとずっと好きやった。
今も、これからも、ずっと・・・。
俺は君を好きでいると思う。
だから、俺と世界で一番幸せになりませんか?

END