<甘えたいねん>

「なぁ、何であかんねん」
「せやから、ファンに見られたらどないすんねん」
「ええやんかー」
「駄目や」
「・・・宇治のケチ!!」
頬を膨らませ、上目使いで自分を睨み付けてくる菅を抱きしめたい衝動にかられる宇治原であったが、何とかそこは耐えてみせた。
今日はオフ。菅の「デートしよ」という言葉に重い腰を上げて外に出てきたのはいいが、今度は「腕を組みたい」という菅の我侭が宇治原を襲った。
しかし、それは流石にやばいだろうと、宇治原は菅に言い聞かせたのだが・・・。
「宇治は俺のこと愛してないんやな!」
「菅ちゃん、もう少し小さい声で・・・」
「宇治の阿呆!」
なにしろ、ここは人が多い街中。
いつファンに聞かれるともわからない。
「菅ちゃん」
「もうええわ!宇治なんか知らん!!」
「・・・何でそこまでして腕組みたいねん」
「西野は梶と腕組んで歩く言うてたで!」
「それは絶対に嘘やから、信じないように」
「何で?」
「梶がそんなことするはずないやろ?」
「・・・じゃあ、キスして」
「もっとあかんがな!!」
「宇治の意気地なし!」
「意気地がないとかそういう問題ちゃうで?もし誰かに見 られたら解散になるかもしれへん」
「それは、嫌や・・・」
「な?せやから我慢したってな」
「・・・じゃあ、一回だけギュッとして」
「・・・しゃあないなぁ」
宇治原は菅を人気のない路地に連れていき、優しく抱きしめた。
「これでええ?」
「おんvv」
ニッコリと機嫌よさ気に笑う菅。
「じゃあ、行こか」
「宇治、お腹すいたわ」
「もう昼時やしな。何食べたい?」
「宇治の好きなもんでええよ」
「じゃあ、ラーメンでも・・・」
「えぇー?」
「・・・何がええねん」
「ハンバーグvv」
「最初からそう言えばええやん」
我侭な菅に溜息をつきつつも、宇治原は苦笑して菅の頭を撫でた。
すると、気持ちよさそうに喉をならす菅。
「菅ちゃんは可愛えなぁvv」
「宇治、早く行こう」
「はいはい」


END