<余所でやれっ!>

「西野っちの馬鹿!!」

「梶の馬鹿!」

「西野っちなんか嫌いやぁ!!」

「なっ!?・・・お、俺もお前みたいな奴には愛想が尽きたわ!」

「別れてやる!」

「おお、上等や!!」

こんな会話がなされたのが数分前。

現在の二人はそっぽを向き、目すら合わせようとしない。

そんな二人の痴話喧嘩を一部始終見ていた(見せられていた)男たちは溜息をついた。

「はぁ・・・毎度毎度よく飽きないもんやな」

「徳井くん、放っておいてええの?」

「大丈夫やて、どうせ放っておけばすぐにイチャつきだすに決まってるわ」

「・・・そうかなぁ」

そんな、徳井と福田の会話に反応したのは梶原。

徳井をギロッと睨み付け、吠えた。

「徳井さん!俺は本気です!!」

「そないなこと言うても、お前の本気は聞きあきたわ」

「今度こそは本気です!」

「じゃあ、賭けるか?」

「徳井くん、やめときや。大体、なんで喧嘩してんねん」

「・・・」

福田が梶原の顔を覗き込み、優しく聞いた。

しかし、梶原は視線を床に落としたまま何も言わない。

見てみれば、大きな瞳に涙をいっぱい溜めている。

「梶?」

「・・・ふ、ふくださぁ〜ん」

福田が梶原の肩に手をおくと、何かがはじけたかのように梶原が泣き出した。

福田はそんな梶原を優しく抱きしめ、よしよしと頭を撫でてやる。

そんな光景に、福田が抗議の声をあげるが・・・。

「あぁっ!福、何してんねん!!」

「徳井くんはどっか行ってて!」

「・・・っ!?」

すぐに切り捨てられてしまった。

徳井は背中に哀愁を背負い、西野のもとへ・・・。

「西野、お前らいい加減にせぇよ」

「何がですか?」

「お前らの痴話喧嘩に振り回される俺らの身にもなれや」

「・・・」

「大体、何が原因で喧嘩してんねん」

「・・・」

徳井の言葉に西野は答えない。

すると、西野のすぐ側にいた菅がニヤッと笑う。

「俺知ってるで」

「す、菅ちゃんっ」

「あんな、昨日の夜なぁ?梶原は見たいドラマがあったらしいねん。せやけど、用事があって見られへん      から西野に録画頼んだんやて」

「ああ・・・それで録画するの忘れたんやな」

「・・・」

「そのドラマな、梶が今一番ハマってるやつやねん」

「そら怒るわ」

「せやけどっ・・・」

「梶は愛しのヨン様に会えへんかったから怒ってんねん」

「・・・って、冬ソナかい」

「・・・あんなんより俺の方が男前やのに、梶のやつ」

「お前よりはペの方が男前やろ。俺には劣るけどなぁ」

「・・・」

一方、その頃の梶原と福田はというと・・・。

「そら西野が悪いわぁ」

「ですよね!」

「僕も冬ソナ見てるでぇ」

「岩尾さんも!?」

「うん。その後のオンエアバトル見るついでやけど、なかなか面白いなぁ」

「ですよね!?それなのに、西野のやつ・・・」

「後藤くんもな、僕の冬ソナのDVDにAV録画したことあんねん」

「えぇ!?」

「やから、しばらく口きいたらなかったわぁ」

何故か岩尾を混ぜて恋人の愚痴を言い合っていた。

「西野!」

「・・・後藤さん?なんですか?」

西野のもとにご立腹な様子で近づいてくる後藤。

どうやら、恋人である岩尾から徳井と同じ目に合わせられたらしい。

「梶に謝ってこいや」

「なんで俺が・・・」

「謝れ!」

「・・・はい」

鬼気迫るといったところか・・・。

ブチ切れ寸前な後藤に圧倒され、思わず頷いてしまう西野であった。

「・・・梶」

「・・・西野」

「そ、その・・・な・・・」

「なに?今から福田さんたちと冬ソナ鑑賞会すんねん、放っておいてや」

その梶原の言葉に、西野が切れる。

「梶、いい加減にせぇよ!あんな韓国人のどこがええねん!!」

「お前なんかよりは百倍くらいええわ」

「・・・っ」

そのまま立ち去ろうとする梶原。

そんな梶原の腕を西野が掴む。

「なに?」

「梶・・・ほんまに、すまんかった」

「・・・西野?」

梶原は目の前で今にも泣きそうな顔をしている西野を見て、目を見開いた。

「俺が悪かった。最近、お前が俺のこと放ったらかしにしとったから嫉妬してたんや」

「やから、録画せぇへんかったん?」

「そうや」

「・・・西野、何でそないに思ったん?」

「・・・」

「ほんまにドラマの主人公に恋するわけないやろ」

「ほんまか?」

「俺には西野っていうカッコいい恋人がおんねんから」

「・・・梶!!」

「西野、放ったらかしにしてごめんなぁ」

「俺も、つまらんことで怒ってごめん」

互いに強く抱きしめ合う二人。

そんな二人を、遠くから呆れた目で見つめる男衆。

「けっきょく、いつもと同じパターンやないかいっ」

今まで黙っていた高井が怒鳴った。

そんな高井を宥めるかのように、中川が肩を叩く。

「まぁまぁ。トシも冬ソナ見てるやないかい」

「言うなっ!!」

END

コメント

流香さま、すいません。

長いです。しかもリクエストに応えられていないです。

その上、たくさん出てます。

韓国ドラマをネタにしちゃいました。

ヨン様ファンの方、ごめんなさい・・・。

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