<そして僕は嘘をつく>
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愛してるなんて言わないで。
こんなにも僕は醜いのに、どうして貴方たちは求めてくるの?
こんな僕を愛さないで。
貴方たちに愛されるたびに、僕は嘘を重ねてしまうから・・・。
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「梶、好きや」
「うん・・・俺も」
「誰にも渡したくないねん」
「誰のものにもならへんよ」
「ほんまか?」
「ほんまやって」
「・・・不安やねん」
その言葉に胸が鳴る。
「何が不安なん?」
「・・・お前に触れられない」
どうして?
俺がこんなに貴方のことを守っているのに。
「俺はここにいるやないか」
「せやけど、遠いねん」
「遠いことないやんか」
そう言って抱きつく。
「キスして」
「・・・梶」
「好きだと言うて」
「・・・好きや」
「俺もやから、不安なことなんて一つもない」
夢を壊さないで。
貴方の手で夢を壊さないで。
嘘で固められた夢やけど、貴方のことはほんまに好きやから。
貴方を傷つけたくないねん。
嘘をつくと、俺の胸はチクチクと痛むけど・・・。
そんな痛みを感じるのは俺だけでいいから。
せやから、許したって・・・。
俺は、あの人のことも好きやねん。
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「梶、どこ行ってたんや?」
「仕事ですよ」
「・・・ほんまか?」
「ほんまですって」
笑いながら嘘をつく。
だけど、鼓動が早くなるのを感じた。
この人は頭がいいから、気が付いているのかもしれない。
「俺のこと、捨てたってもいいですよ」
「・・・何でそんなこと言うねん」
「だって・・・ほんまは・・・」
「絶対に捨てたりせぇへん」
ああ、いっそのこと・・・。
「・・・優しすぎですよ」
お前なんかいらないと言ってくれたら、どんなに楽か・・・。
優しくされるたびに胸が痛む。
いっそ、罵ってくれたら。
こんなにも嘘を重ねることはないのに・・・。
「・・・好きや、梶」
「俺もです」
「なぁ、梶」
「はい?」
「ほんまに俺のこと好きなん?」
「当たり前やないですか」
「・・・」
ああ、いっそのこと・・・。
こんな俺のことなんか、捨ててくれたらいいのに。
そんな目で見ないでください。
もう、愛してるなんて。
好きだなんて言わないでください。
僕はいつまで嘘をつけばいいんでしょうか?
どれほど嘘を重ねればいいんでしょうか?
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end
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コメント
西梶で宇治梶です。
しかも、暗いですねぇ・・・。
梶くんは二股してます。
西野は気付いてませんが、宇治原さんは少し感づいてます。
本当にすいません・・・。
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