<百円玉>
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ぶっちゃけた話、一目惚れだったんや。
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「なぁ、初めて会った時のこと覚えてる?」
「はぁ?」
川島の言葉に、田村はあきらかに怪訝そうな顔をした。
それもそうだろう。
今いる場所はbase。
しかも、本番まであと三十分・・・。
普通なら緊張してそんな思い出話をふる余裕などないはず。
「お前なぁ・・・」
田村は溜息をついた。
しかし、川島は全く気にする様子がない。
「なぁ、覚えてる?」
「・・・俺が転校してきた時やろ」
「ブーッ」
「なんやねん」
「違うやろ?俺とお前の出会いはそんなんちゃう」
「どうだってええねん、そんなこと」
「どうでもよくないで」
素気ない田村の態度に動じることもなく、川島はニコニコしている。
「俺な、お前の百円玉が欲しかったんや」
「・・・は?」
「せやから、交換しよ言うたんやで」
「・・・俺は変な奴や思ったけどな」
「なんや、覚えてるやん」
「お前が無理矢理思い出させたんやろ」
「俺な、今でもあの時の百円玉もってんねん」
「俺はあの後にすぐ使ったわ」
「お守りにしてんねんvv」
「きしょく悪いわ!」
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ほんまに一目惚れやったんや。
せやから、何でもいいからお前のものが欲しかった。
あの時、お前に出会えることができて本当に良かったと思ってる。
これからもずっと、一緒にいるからな!
「・・・なんや、寒気がしたわ」
「俺の念が届いたなvv」
「・・・ほんま、きしょく悪いねん」
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end
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コメント
知らない方の為に・・・。
二人の出会いは三年生の時、田村さんが転校してきたのがきっかけらしいのですが・・・。
実は、その前に二人は駅で会っていたのです。
しかも、川島さんが田村さんに「百円玉を交換して」と話しかけてきたとか。
運命の出会いですねぇ!!
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