<君は僕の光>
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正直な話、アイツがいないと駄目になるんは俺の方やと思う。
「キングコングは西野でもってるようなもんやなぁ」
酒の席での先輩から発せられた何気ない一言。
「何言うてるんですか!俺だって頑張ってますよ!」
その言葉に梶はムキになって反論していた。
「そうですよ、俺がおらなかったらコイツなんて野垂れ死にですわ」
俺は表面的に笑いながらそんなことを言う。
「なんや、西野まで!」
そんな俺に対し、梶は拗ねてしまった。
だけどな、実際にはそんなんちゃうぞ。
梶がいなかったら、駄目になるんは俺の方や。
「梶、そう拗ねるなって」
梶が入院した時、俺は死ぬほど後悔した。
「せやけど・・・」
どうして、気付いてやれなかったのか。
「お前も頑張ってるて」
梶がいない間、なんとか一人で頑張ったけど。
所詮、俺も弱い人間なんや。
虚無感と孤独感に襲われて、震えを必死で隠して・・・。
お前という人間がどれほどの存在かを思い知らされた。
もう、あんな思いはしたない。
「西野、どうしたん?」
「あ、え?なんや?」
「ボーッとして、先輩ら帰ってもうたで?」
「あ・・そうか」
「俺らも帰ろうや」
「せやな」
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「いま、何時?」
「一時ぴったし」
俺の問いに梶が答える。
梶はまだ少し酔っているのか、足どりがフラフラしていた。
「危ないからおぶされ」
「ありがとー、西野」
へラッと笑う梶を可愛く思った。
失いたくない存在。
俺だけの光のような梶。
「梶」
「んー?」
「俺、お前がいてくれて良かったわ」
「・・・」
「ありがとな」
「・・・」
「梶?」
気が付けば、梶は俺の背中で寝ていた。
「・・・はぁ」
ため息をついて苦笑する。
こんなにも愛しい、大事な存在。
お前は俺の光やと思う。
お前がいなかったら、きっと歩いていけない。
「せやから、ずっと隣におれよ?」
そう言った後、梶が微笑んでくれたような気がした。
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END
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コメント
ぎゃーっ!!!
叫ぶしかないです。すいません!
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