<言わない2>

ずっと待ってるんだ。

お前が俺のこと好きなんだって知った時、すごく嬉しかった。

俺もお前のこと好きだから。

それなのに、お前は何も言ってこない。

「児島、ここの立ち位置どうする?」

「え?あ、ごめん。聞いてなかった」

「はぁ?しっかりしろよ、本番は明日だぜ?」

「悪い」

「考え事でもしてたのか?」

「・・・ちょっとな」

わかってるよ。俺のことを考えてたんだろ?

だから、ちょっと嬉しいから、からかってみる。

「児島?」

「うわっ!」

「何驚いてんだよ」

わざと顔を近づけてみた。

あと数センチで唇が触れ合うくらい近い。

コイツ、顔真っ赤だし・・・。

「・・・」

もしも、俺と児島が恋人なら、例えキスしても問題ない。

だけど、コイツは何もしてこない。

それどころか「好きだ」の一言もまだない。

どうせ、コイツのことだから、変な勘違いをしてるんだろうな。

「続きしようぜ」

ああ、ほらまた。

何で自分を押さえるんだよ。

「大丈夫か?児島」

「ああ。何でもない」

何でもない筈ねぇだろ、そんな顔しておいて。

「・・・ごめん」

「あ?何か言ったか?」

「いや・・・」

何で謝るんだよ!!

「・・・むかつく」

「渡部?何か言ったか?」

「何も言ってねーよ!」

「何で怒ってんだ?」

お前のせいだろうが!!

ああ、むかつく。

こうなったら、絶対にお前に言わせてやるからな。

俺からなんて絶対に言ってやらない。

言えないんじゃなくて、言わない。

「・・・」

見てろよ、絶対に言わせてやるからな!

end

コメント

はい、二作目・・・。

渡部さんは児島さんの事が大好きなんですよ。

でも、自分から言いたくないんです。

そういうものでしょ?(何が?)

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