<悲哀>

一人じゃ生きていけない。

俺は弱いから、一人でなんて生きていけない。

そんな俺を、お前は好きやと言ってくれた。

キスをして、抱き合って、愛していると囁いて?

ねぇ、どうしてお前は俺のそばにいなんだろう。

一体、お前の身に何が起こった?

嗚呼、どうして皆が俺に声をかけてくるやろ。

どうして、皆は黒い服を着てるんやろ。

どうして、お前は寝てるんやろ。

どうして、目を覚まさないんやろ。

どうして、どうして、どうして?

「梶、行くで」

「高井さん・・・西野は?」

「梶・・・」

どうして、そんな悲しそうに俺を見るんですか?

ねぇ、何で皆は俺を憐れむような目で見るの?

「西野は?」

「梶、西野はいないで」

「どうして?」

「・・・死んだんや」

何を言うてるんやろ、この人は。

「嘘や」

「嘘やない」

「嘘や」

「梶、西野は死んだんや」

「嘘や!」

「嘘やない、西野は死んだんや!」

「・・・っ・・・嘘やぁぁ・・・」

その場に泣き崩れた。

あの日の映像が鮮明に脳のなかで再現される。

ああ、確かに西野は交通事故で・・・。

あたりが血まみれで、西野は息をしていなかった。

「・・・っく・・・う、そ・・・やぁ・・・」

「梶、しっかりせぇ」

「嘘やぁっ!」

俺を一人にしないで。

一人じゃ生きていけない。

お前がいないと、誰かがいないと、俺は弱いから。

「・・・っ・・・くっ・・・に、しの・・・」

「梶・・・」

宇治原さんが俺を抱きしめて、その腕にすがって泣き叫んだ。

あの時に、涙なんて枯れ果てたと思ったのに。

ねぇ、俺はこれから誰にすがって生きていけばいいの?

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続きます。

はい、すいません!