<一人が嫌いな僕>

「なぁ、お前いつまでいんだよ」

「あ?」

有田はソファで雑誌を読んでいる上田に新しいウーロン茶を渡しながら言った。

すると、上田は雑誌から目線を外すことなく言う。

「別にいいだろ」

「・・・もう夜中なんだけど」

「そうだな」

「俺、寝たいんだけど」

「寝たらいいだろ」

「帰らないのか?」

「そのうちな」

上田の言葉に、有田は溜息をついた。

しかし、その顔はどこか嬉しげで・・・。

そんな有田を横目で見やりつつ、上田は微笑を浮かべる。

「寝ないのか?」

意地悪な笑みを浮かべつつ、そう聞けば・・・。

「お前一人だと寂しいだろ?」

と言って、隣に座ってきた。

「素直じゃねぇな」

「何言ってんだよ。お前に付き合ってやってんだろ」

「はいはい、ありがとな」

有田の頭を軽くポンポンと撫でながら、上田は微笑む。

有田も、そんな上田を見て無邪気に笑った。

本当は気付いているけど、天の邪鬼な性格が邪魔して言葉に出来ない。

一人が嫌いな自分の為に帰らないで一緒にいてくれること。

素直に言えない自分の為に黙って微笑んでいてくれること。

「上田」

「ん?」

「・・・何でもない」

「何だよ、言えよ」

「ううん、いい」

「あ、そ」

いつか、いつか言うから。

俺は素直じゃないから、今はまだ言えないけど。

絶対にいつか言うから。

だから、それまで一緒にいて・・・。

end

コメント

山子さまリクエストです。

いかがでしょうか?こんなんで。

またのリクエストをお待ちしていおります!

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