<怖いものを見た夜は>

夜、真夏の心霊SPという番組がやっていた。

ビールを片手に何げなく見てみる。

個人的には怖くも何ともない陳腐な番組。

「こんなんで数字とれるんやから不思議なもんやな」

そんな時、頭に思い浮かんだのはお化け嫌いな相方。

怖がりのくせにこういう番組はつい見てしまうらしい。

「今ごろ、震えながら見てるんかな」

思い出してフッと笑う。

そんな時、自分の携帯の着信音が鳴った。

手を伸ばして携帯に出る。

すると、機械の向こうから聞こえてきたのは恋人の泣きそうな声。

『た、高井くん?』

「たーちん?どないしたん?」

『今から俺の家に来れへん?』

「なんで?」

『あ、あんな・・・怖いテレビ見てもうて・・・』

「ふーん?」

やっぱり・・・高井は内心で微笑んだ。

そして、愛しい恋人を優しく宥める。

「わかった。すぐ行くわ」

『う、うん・・・早く来てな』

ぴんぽーん・・・。

中川の住む部屋の前に立ちインターホンを押す。

がちゃ・・・。

静かにドアを開けられた。

すると、そこには涙目になっている中川の姿が。

「たーちん?大丈夫?」

「た、高井くーん・・・」

「よしよし、もう大丈夫やで」

ドアを閉め、優しく中川を抱きしめてやる高井。

そんな高井に中川も強く抱きつく。

「たーちん、今日は一緒にいたるから」

「ほんまに?」

「ほんまやって。たーちんが怖くなくなるまで一緒にいたるよ」

「高井くん・・・大好きvv」

「俺も、たーちんのこと大好きやで」

「高井くん・・・その・・・」

「ん?」

高井が中川の顔を覗き込むと、すでに真っ赤に染まっていて。

「あの・・・」

「キスしてほしい?」

「・・・う、うん」

「じゃあ、目つぶってな」

「うん////」

君が怖いものを見た夜は、いつでも僕を呼んで。

愛しい君のためなら、どんな時でも君のそばに行くから。

end

コメント

高中です。

ごめんなさい、最近のはまりです。