<大嫌い!>
「菅さんなんか嫌いやぁ!!」
「じゃあ、俺も嫌いや」
「・・・っ・・別れてやる!」
「はっ、できひんくせによお言うわ」
「絶対に別れたるもん!」
「へー?それで誰のとこ行く気や?」
「それはっ・・・」
「どおせ、西野か宇治原のとこやろ」
「・・・ちゃう!とにかく、菅さんとはもう終わりや!」
半べそかきながら出ていく梶原を、菅は涼しい顔を見送った。
「いってらっしゃーい」
などと言いながら手を振る菅にますます怒りを感じながら、梶原は力いっぱいドアを閉めた。
その衝撃で部屋が少し揺れる。
「・・・もっと静かに閉めろや」
そう呟き、菅は携帯に手を伸ばした。
アドレス帳から宇治原の番号に電話をかける。
「・・・宇治原か?梶がそっちに行くかもしれへんから・・ああ 西野にも伝えといて・・・じゃあな」
携帯をテーブルの上に置いて赤いベッドの上に寝転がる。
「・・・ガキやな、ほんま」
・
一方、梶原はというと・・・。
菅の予想に反し、何故か福田の家に来ていた。
「だから、聞いてます?福田さん!!」
「・・・聞いてるって」
顔を真っ赤にさせながら大声を出す梶原に、福田はうんざりとでも言うように溜息をつく。
「菅さんなんか・・・菅さんなんか・・・大嫌いやぁ!」
「・・・あんなぁ、菅ちゃんがそういう人間やっての承知で付き合ってんやろ?」
「・・・そりゃあ、まあ・・・」
「そんなら、お前が少し大人になったらええねん」
「・・・せやけど」
「大体、菅ちゃんにそんなん求めるのが間違いやと思うで」
「・・・でもぉ・・・っつ・・」
「え?か、梶!?」
大きな目から涙をこぼしはじめた梶原に焦る福田。
懸命に宥めようとするが梶原が泣きやむ気配はない。
「くっ・・・菅さんは・・・結局は、俺のこと・・・好きや・・ ないっ・・やぁっ・・・」
「んなことないって!」
「俺のこと・・・ひっ・・・せい、よくしょり・・としか、思って・・へんねん・・・ふぅっ・・くっ・・・」
「梶・・・」
福田は泣き止まない梶原の頭を優しく撫でて何とか落ちつかせようとする。
が、その時・・・。
とてつもなく場違いな声が飛び込んできた。
「福ーーー!お前の王子様が今帰ったでー!?vv」
「と、徳井くん!?」
「福ー、寂しかったやろー?チューしたるわvv」
「徳井くん!酔ってる!?」
「さぁなー?」
「酒くさっ!酔ってるやろ!!」
「酔ってるで?せやからキスしよか?」
「どんな理由やねん!今はあかん!梶が来てるんやから!!」
「・・・梶?」
福田の言葉で我に返ったのか、徳井が梶原の方を見やる。
一方、梶原は目の前で繰り広げられた光景に泣くことも忘れて唖然としていた。
「おまえ、何でここにおんねん」
「お、おじゃましてます」
「梶は俺に相談があって来たんや。せやから、徳井くん今日は帰ってほし・・・」
「そうかそうか、じゃあ俺も話聞いたるわ」
「人の話聞けや!!」
福田の話なんか全く聞いていない様子。
徳井は梶原の目の前に座り込んだ。
「で?どないしたん?菅ちゃんと喧嘩でもしたか?」
「当たりです」
「ふーん・・・俺と福も喧嘩なんかよおすんで?」
「徳井さんたちも!?そんなに仲いいのに?」
「福があんまりヤらせてくれへんねんから」
「な、何言うてんねん!///」
顔を赤くさせながら徳井を突き飛ばす福田。
「梶、菅ちゃんとほんまに別れる気なん?」
「・・・」
「ほんまは別れたないんやろ?」
「・・・はい」
「せやったら、菅ちゃんと仲直りしなあかんよ」
「だけど・・・俺、嫌いって言っちゃった・・・」
「大丈夫やって」
「そうやそうや!そんなん本気にしてへんと思うで?」
「ほんまですか?徳井さん」
「菅ちゃんのことやし、今回のことも喧嘩なんて思ってへんな」
「・・・俺一人で怒鳴り散らして・・・阿呆みたいや」
「梶・・・」
「俺、菅さんとこ帰りますわ」
「もう平気なん?」
「はい。ありがとうございましたっ」
「じゃあ、気をつけて帰り。もう遅いんやし」
「はいっ」
笑顔で徳井と福田に礼を言い、菅の家へと向かう梶原。
そんな梶原を見送り、福田は徳井を見つめた。
「仲直りできるとええんやけど」
「大丈夫ちゃんか?何だかんだ言うても、菅ちゃんは梶のこと溺愛しとるし」
「・・・そやねっ」
「この間もな、西野が梶にベタベタしとったら呼び出してたで」
「・・・菅ちゃん・・・」
「菅さんっ!」
菅の家のドアを勢いよく開けた。
そしてすぐに頭をさげて大声で言う。
「さっきはごめんなさい!別れるなんて嘘です!!」
すると、一瞬驚きの表情を見せた菅は梶原に近づき、ぐいっと自分の方に顔を向かせた。
「・・・っ」
菅は怒ってるものと勘違いし、怯える梶原。
そんな梶原に菅はシニカルな笑みを浮かべ・・・。
「おかえり」
ただ一言そう言い、またもや部屋の中へと入っていく。
「・・・菅さん?」
菅のその行動に梶原は素っ頓狂な声を出した。
「何してんねん、早くドア閉めろや」
「は、はいっ」
言われるままにドアを閉め、自分も中に入る。
すると、菅は無言で梶原を抱きしめた。
「す、すすす菅さん!?」
「ん?」
「・・・ごめんなさい」
「やっぱり別れられへんやろ?」
「・・・はい」
「俺が言った通りやん」
「はい・・・」
「ま、福ちゃんの所に行ったのは予想外やったけどな」
「な、なんで・・・」
「よっきゅんから電話きたんや」
「・・・・・菅さん」
「あー?」
「俺のこと嫌いにならんといてください」
「・・・それはお前次第やな」
「え?」
「こういうことや」
にやりと笑い、菅は梶原をベッドに押し倒す。
梶原は慌てて抵抗しようとするが力の差で何もできない。
「す、菅さん!?」
「俺な、結構ナイーブやねん」
「は?」
「嫌いや言われて傷ついてんねんよ」
「・・・あ」
「せやから、慰謝料とらせてな身体で」
意地の悪い笑みを浮かべ、梶原の服を脱がせていく菅。
これから起こることを理解した梶原の顔を青ざめる。
「す・・菅さん・・・やめっ・・・んぅっ・・・ふっ・・」
やめて、と言う前に深く口づけられた。
こうなってはもはやどうにもならない。
身体についた火を消すなんて、梶原には到底無理な話であった。
「やめてほしい?」
「・・・つ、続けてください///」
「素直やな梶はvv」
「・・・菅さん」
「ん?」
「大好きです」
「俺も好きやで」
end
コメント
またもや書いてしまいました!
菅梶です。そして徳福も入りました。
何かというと登場する中途の二人。
何故に?自分でもわからないですねぇ・・・。
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